目次
1)人類と真珠
太古の時代から続いている。それは、現存する様々な民族の伝承、神話、文献に必ず登場する。
古代インドの神話
神への供え物として大気は虹を、火は流星を、大地はルビーを、海は真珠を贈った。
虹は後光になり、流星ば灯火、ルビーは神の額を飾り、真珠は神の心に飾られた。
旧約聖書、新約聖書
真珠の話は沢山出てくる。
「天国は良き真珠を求める商人の如し、値高き真珠一つ見出さば、往きて所有物をことごとく売りてこれを買うなり」(マタイ伝13章)
日本の古事記、日本書紀、万葉集など最古の文献
「しらたま」「あわびだま」「まだま」などの言葉で頻繁に登場。
「しらたまを、てにとりて、みるのすも、いえなるいも、またみてももや」(万葉集巻第20)
クンツ博士の “The Book of The Pearl”(1904)
「・・・自然のままで、その完璧な美しさを誇る真珠は、人類が最初に出会った宝石である・・」と言い切っている。
2)なぜ最古の宝石なのか
人類にとって貝は最初から重要な食料であった。その貝から出てくるのが真珠。出現は稀であっても、その存在は身近。
真珠独特の美しさである「てり」という真珠独自の輝きは、動物に一種の畏怖感を与える。先祖は畏怖感を転じて宝石として崇め奉ったのではと推定されている。
3)養殖真珠の登場
なぜ貝の中から真珠が出てくるのか、長い間人間は考え続けてきた。
近代になって科学の発達と共にヨーロッパの多くの学者がこの問題に取り組み、次々新しい事実が解明されてきた。
これらの研究成果の影響を受けながら、独自に日本で、真珠を作ることに成功した。それが、養殖真珠である。
1896年(明治29年)
御木本幸吉氏が出願した特許第2670号によります半形真珠が生まれた。
その数十年後
待望久しい球状の真珠「真円真珠」が登場。
西川藤吉氏(1907年出願)、見瀬辰平氏(1917年出願)、御木本幸吉氏(1918年出願)がその代表的特許。
それから約100年。真珠といえば養殖の真珠を指す、養殖真珠全盛時代の今日がある。