目次
a. 翡翠とは
東洋人にとっては、深く澄んだ緑色半透明石のイメージ。地名などを冠して「翡翠(ジェード)」と呼ばれている緑色半透明石のほとんどは全く別の鉱物であることが多い。
ネフライト(軟玉)
翡翠文化が栄えた中国では、5000年前から様々な玉器が作られ、翡翠と呼ばれていた。軟玉には翡翠輝石が含まれておらず、硬玉とはまったく別の鉱物組成を持つ。現代では、宝石としての価値はほとんど認められていない。
ジェイダイト(翡翠輝石、硬玉)
18世紀頃より使われる。現在では硬玉にのみ宝石としての価値がある。硬玉が美しいとされるのは、美しく輝く翡翠輝石(ひすいきせき)が主成分だから。
どちらも翡翠と呼ばれるが、両者は実際には全く別種の鉱物であり、宝石としての評価が大きく異なる。
b. ジェイダイト(翡翠)
緑色以外にも各種の美しい変種が見られる。
色調
緑色
なかでも、『琅かん』と称される透き通るような半透明で、かつ深く澄んだ緑色のジェイダイトは希少性が高く珍重されている。
ラベンダー、レッド
緑色に次いで、高く評価される。
産地
ジェイダイトの商業的規模の産地は唯一ミャンマーだけである。
丈夫さ
ごく小さな繊維状あるいは粒状の結晶が複雑に絡み合う組織をもっているので靭性が高く、最も丈夫な宝石。
研磨や彫刻などの加工には熟練を要する。
加工
通常、研磨の際に表面光沢を高めるためにワックスによる加工が行われる。
c. ジェイダイトの処理
着色
繊維状結晶の集合体である特性を利用して、白色のジェイダイトを様々な色に着色する。しかし、短期間で褪色を起こし、耐久性はない。
無色硬化樹脂の含浸
1990年代より行われるようになった。
薬品でジェイダイトの組織を侵して、その隙間に樹脂を入れると、色が均一にしかも透明度が高くなり、非常に良質なジェイダイトに見える。しかし、処理された石はあくまで処理石で、評価には大きく差がある。