1)模造真珠
模造真珠とは、
安価なものからかなりの高額品まで色々なものがある。紛らわしい商品名のものもある。
共通しているのは、合成真珠箔という一種の塗料を使ってみかけを天然真珠、養殖真珠に似せている。合成真珠箔は光の干渉を起こす塗料なので、一見すると真珠そっくりの「てり」がある。
模造真珠の鑑別方法
鑑別方法
顕微鏡で100倍位に拡大して表面を見れば、一目瞭然。真珠には結晶に起因する指紋様の模様があるのに対し、模造は卵の殻のように平坦に見えるから。
簡単な見分け方
珠同士をこすり合わせる方法がある。模造がつるっとすべるのに対して、真珠はかちっとひっかかりを感じる。
両社の主成分の違いによる。真珠は炭酸カルシウムという一種の鉱物、模造はプラスチック。
2)天然と養殖
養殖真珠には核があるが、天然真珠には核がない。だから鑑別は簡単などという論理は通用しない。ピースだけを入れる養殖もあるので、核の有無は何ら鑑別の根拠にならない。
若干の例外を除いて、天然真珠か養殖真珠かの鑑別は現在の技術では不可能。
内部に核があるかないか、有核か無核かは、レントゲンを撮れば分かる。核ははっきり写るし、内部の空洞状態も写る。
3)処理鑑別、ブラック系真珠について
処理
真珠の色や光沢を人為的に変えることを言う。
処理鑑別
処理を見分けること。
ブラック系真珠
黒蝶真珠、とりわけ黒色度の高いものを指す。ブラック系、グリーン系、レッド系が該当。
ホワイト系真珠をブラック系に着色する方法
銀塩処理法
化学反応を使って真珠層の中に銀を析出させ黒色にする方法。養殖のクロチョウ真珠が出現する以前から市場に出回っていた。
塗料で着色する方法
最近出てきた方法。真珠層表層部に塗料を浸透させ黒色にする。
鑑別法
「分光スペクトル法」
反射型分光光度計という装置で真珠の分光反射率を測定する方法。黒色真珠はその色素群に起因する特有の吸収(クロチョウ吸収)が必ずある。
「サーチライト法」
目にまぶしさを感じる程の強い光(15000ルクス以上)の下で、緑色の布の上に置いた真珠を直接見る。処理されてない真珠は、わずかに緑色を帯びた黒色に見える。銀塩処理による着色真珠は赤褐色から黒褐色、塗料による着色は、赤褐色を帯びる。一定の習熟を積むことが大切。
4)コーティングの鑑別
コーティングとは、
表面光沢を向上させるため一種の透明ラッカーを塗ること。簡単にできる処理だが日本の業界では自粛事項となっている。しかし、市場に流通している商品にこの種のものを見かけることはある。
鑑別
表面が合成樹脂の薄膜で覆われているので、こすれば模造真珠の時のようにつるっとすべる。
顕微鏡で拡大すれば、真珠独特の指紋様の模様がないので簡単に分かる。
5)真珠のグレーディング
日本にはまだ統一されたグレーディング・システムはない。
しかし平成10年「真珠養殖事業方法」ご廃案になるまでは日本から海外へ真珠を輸出する時は、必ず国の検査を受け、ある品質以上の認定を受けたもののみ輸出できるシステムがあった。
廃案まであった検査基準の特色
①輸出する真珠のみ対象。
②ある基準をクリアしていないもの(下級品L)は、輸出できないということで、等級付けのようなシステムはない。
③検査の眼目が輸出されて以降の品質低下の防止にあるため、うすまきや真珠層が痛んでいるもののチェックに重きが置かれていた。
④検査法は専門検査官による、自然光の下での肉眼検査。
花珠とは、
浜揚げ珠を、販売や評価のためにA.Bの二つのクラスに分ける。
Aクラス(上珠)
無傷、1点キズ、小キズ、小シミなど。Aクラスの中で1番上位にあるのが、花珠。
花珠
色がピンク系でまきが厚く光沢もよく、数がどこにもなくまん丸であることが条件。
Bクラス(下珠、すそ珠)
大キズ、大シミ、バロック、薄巻きが入る。