1)取り扱い

a.ダイヤモンドの硬度は10

物質の中で最も硬い。ダイヤモンドを傷つけられるのはダイヤモンドのみ。研磨済のダイヤモンドを同じ袋に入れておくと、石同士がすれあって、研磨面に擦り傷がついたり、磨耗して白っぽくなったりする。

b.ダイヤモンドには劈開がある

   硬いダイヤモンドにも特別に弱い方向があり、八面体の結晶面に平行に力を加えると、比較的小さな力で石が割れてしまう。

   カット石の内部にできた亀裂を、フェザーと呼ぶ。これは亀裂面に垂直な方向からみると、鳥の羽のように見えるため。加工の際に注意が必要。

    一般に、宝石は衝撃に弱く、硬いが脆いので、衝撃を与えないように注意が必要。

c.熱や化学薬品に対する安定性

   サイズ直し、爪の修理などで貴金属に高温の炎が当たる時は、石を保護して作業するか、石を枠から外して作業する。フェザーのある石は、格別な注意が必要。

   硫酸、硝酸、塩酸、王水など各種の酸にダイヤモンドは侵されない。

2)手入れ

a.定期点検のすすめ

    枠にセットされている石、中央の石だけでなく、脇石などにもゆるみがないことをいつもチェックしておく。6ヶ月間隔程度で宝飾品の点検を心がけたい。

b.輝きを取り戻すクリーニング

   汚れてくると輝きが劣ってくる。特にパビリオンに油膜が吸着すると輝きが極端に落ちる。

   中性洗剤をぬるま湯で溶いて、柔らかな歯ブラシやはけや絵筆などで洗うと輝きを取り戻せる。洗浄後は熱い湯で洗い乾燥させる。この作業を行う時は、流しの排水栓は必ず閉めておく。

c.超音波洗浄器

   爪の裏など手の届かない箇所の汚れ落としに、超音波洗浄器が利用される。爪留めの不完全な石は脱落しやすいし、大きなフェザーのある石は、振動で割れる可能性もあるので、事前に安全性をチェックしておくことが必要。