ジュエリー概論から!

1   ジュエリーとは

装身具のうち、地金には、金、銀、プラチナ類を使用し、天然あるいは人口の宝石素材のみを使用したもの。

用語の定義:英語と日本語による意味範疇とその対応

2   ジュエリーの発生

1)呪術起源説

   太古の時代、未知なる恐ろしいものに対して、自分や家族を守るために、魔除け、お守りとして身に付けたのが装身具。

2)ホモルーデンス説

   手近にあるものを使って遊び半分に自分の身を飾ったものが起源とする意見。

3)自己異化説

    自分という人間を人と違うように見せるために、化粧したり衣服を変えたりする動作の一環として、身の回りのものをつけたのが始まりとする説。(現代の果たす機能はほぼこれに限定)

4)自己同化説

     自分という人間が、共に住むたにんと共通のものであるという確証を求めて、何らかの統一性のある品物を身に付けた。

3   ジュエリーの発達  -日本を例として-

    日本の装身具の歴史は世界の中でも特殊なもの。古墳時代と飛鳥・奈良時代との境目で、突如として装身具は姿を消し、以後1200〜1300年にわたり、明治期のはじめまで、いわゆる装身具を見ることはない。

    どうして日本だけこういう事態が起きたのか歴史学者は諸説を唱えているが説得力に欠ける。

 [諸説]

・王権が強くなり庶民が身を飾るのを支配階級は好まなかった。

・古い装身に飽きた。

・衣服の染色技術が発達して装身具は不要だった。

☆櫛やかんざし、こうがいを除けば、装身具はなかった。金属加工技術を使った仏具、武具、袋物などは作られていた。この意味で、技術はあったのに、それで装身具を作ることはなかった。

[日本の装身具の歴史]

縄文時代   

入れ墨と歯の鋸歯(きょし)  、耳飾り、腕輪、櫛

弥生時代

青銅器が登場。青銅で貝輪の形を模した腕輪が登場。初期の玉類。

古墳時代

玉    陸から取れる玉石と海からとれる真珠。

玉石・・・翡翠、ガラス、水晶、瑪瑙、琥珀など

                   形は勾玉、管玉、切子玉等。

                   金や銅に金を被せた細工品。

明治時代

江戸まで生き残った金銀細工師の伝統を生かして見様見真似の装身具作りが始まった。

明治・大正時代

支配階級のためのジュエリーが作られた。

戦後の民主化(昭和40年頃から)

ジュエリーの大衆化

⭐️どの国でも、ジュエリーは、素朴な素材の利用から始まり、素材と技術が洗練されていき、流行がデザインや作りを支配していく経緯をたどる。

4   ジュエリーの構成と種類

[構成]

土台となる貴金属(金、銀、プラチナ)とその上にセットする宝石から成る。貴金属だけの製品も多い。

[使われる技術]

☆石をカットする研磨技術(ラビダリー)

☆金属を加工すると技術

[補助的な技術]

・石をセットする技術

・金属の表面に線刻を加える彫りの技術

・七宝などの技術

[デザイン]

・歴史の中では比較的新しいもので、デザインだけが一人歩きするのは17世紀に入ってから。

16世紀のデザイン画

・それまでは、職人イコール「デザイナー」。受注生産で、発注主である王侯貴族と職人の親方とが差し向かいで、デザイン、価格、素材を検討して買い手の指示のまま作っていた。

・今の日本では職人とデザイナーの棲み分けが進み、デザイナーは実制作をしないペーパーデザイナーがほとんど。

[素材]

中石・・・主素材

脇石・・・副素材

地金・・・貴金属

デザインによってこれらの組み合わせは変わる。

[ジュエリー製作]

スタートは、宝石の採掘、研磨、流通にある。

日本は、アコヤ真珠を除いて、素材のほとんどは輸入に頼っている。輸入業者が必要。

[ジュエリーを製作する企業=メーカー]

東京の台東区と山梨県甲府市に集中。

ジュエリー生産の現場。

[ジュエリーが店先に並ぶまで]

研磨業者→輸入業者→製造卸→メイカー→デザイナー→卸業者→小売店・百貨店など販売業者

☆今の日本では、小売店・百貨店が全て仕入れるとは限らず、いわゆる委託、受託という取り引きで、製造卸、あるいは卸業者が資金を負担する形で流通する方式をとっている。

[ジュエリーの種類]

ネックレス、ペンダント、イヤリング、ブローチ、リング、ブレスレット、帯留め、男性用装身具(カフ・リンク、タイ・ピン、タイ・タック、スタッド)などがある。

5    ジュエリーの価値

宝石を持つ価値とは使用価値と素材価値がある。

使用価値

    宝石を買った人が、宝石を身に付けることにより、より美しくなり、他人から受けるより高い評価を楽しむこと。

→ジュエリーを使用することで、より高度な生活を楽しむこと。

素材価値(資産価値)

  長いこと使っても、基本的な素材としての価値は減らない。

→素材としての上がり下がりを目的とするのは間違いで、買う人が宝石を本当に楽しむことができない。価格差益が出ることもあるが、あくまで結果であって目的ではない。

⭐️ジュエリーは、即物的な効用を持たないという特徴と、売り手と買い手の間に、商品内容についての大きな知識差がある。

→正しい情報を提供するのは、ほとんどが業者側の責任。

感想

とても興味深く学ばせて頂きました。私のジュエリーは、御徒町のアインさんや銀座のJEXさん等へルースを持参し、加工の相談に乗って頂くことが多いが、こういう形で製作されるのは、実は、今の日本では一般的ではなかったのを知りました。よいご縁に恵まれて、本当にありがたいことだと感謝しています。又、ジュエリーは、使って楽しむことに価値があることを再認識し、大切にし過ぎて使用頻度を少なくすることのないよう、どんどん使ってジュエリーのある生活を楽しみたいと思いました。