平和堂貿易さん繁栄から倒産まで

   テレビのクイズ番組などの賞品にスイス製高級腕時計『テクノス』を提供されていた記憶です。精密機械のお得意なスイスの高級時計の宣伝に、当時憧れたものです。その後、時計を好きになって、色々な時計を知るにつけ、実は『テクノス』はスイスでは高級時計の扱いではなかったことを知りました。平和堂貿易さんの宣伝戦略の巧さに驚いていたことを思い出しました。

    とはいえ、高級時計や高価なジュエリーを扱っていらっしゃる優良企業のイメージでした。

    恥を承知で書くと、無知な私は今日、平和堂貿易さんが実は倒産していたことをはじめて知りました。(リサイクル市場では今でも高級ジュエリーを良く目にします。)

リサイクル市場にある平和堂貿易さんのジュエリー

『なぜ倒産  23社の破綻に学ぶ失敗の法則』より

23社の中に、平和堂貿易さんの例

     高級宝飾品の輸入販売会社として高い知名度を誇っていて、1990年代前半には売り上げが120億円以上もあったとのことです。

     好調の理由は、舶来品に目をつけたことでした。海外(高級)腕時計の販売代理店契約を結び、百貨店テナントで卸販売をするというモデルで、業績を伸ばしました。欧米ブランド信仰の強い日本人消費者から支持を集めて、自社名をセットにして売り出し、知名度を高めることに成功したようです。

     しかし、高級商品の市場が縮み、欧米高級ブランドが日本法人を設立するようになると、売り上げが減少、社員の引き抜きも相次いだとのことです。その結果、2015年9月期の売り上げは約11億円と、90年代前半の10分の1にまで落ち込んでしまいました。百貨店頼みでは駄目だとわかっていても、従来の売り方が変えられず、2016年10月に破産申告がされ、倒産してしまったようです。

ジュエリー界の将来について

本当に高級品離れでしょうか?

平成の30余年は、ずっと不況が続いていたと言われます。実際、日本の給与水準は、現在では、世界的に見て低い位置に甘んじています。

    高級商品が売れなくなったとも言われていますが、巷には、若いお嬢さんから、中高年女性まで高級ブランドバックを持った方々が少なからず街を闊歩しています。本当に高級品が売れなくなったのかは疑問に思います。

ピンクダイヤとブルーダイヤの値上がりから考える消費者の気持ち!

    実際に、ピンクダイヤやブルーダイヤは、この30年間で、ものにもよりますが少なく見積もっても数倍、値上がりの激しいものでは10倍近くになっていると感じます。物凄い値上がりなのです。高級品が売れないと一概に言えないと思います。多分、本当に価値のある、将来的にも価値が目減りしない、むしろ値上がりが予想されるものに対しては、いくらでもお金は流れているはずです。ついでに書き加えると、百貨店の扱う商品は安心感こそありますが、中間マージンの比率が大きく、品質は確かでも割高感か強いです。私を含む多くの人々にとって、自由にできるお金は限られているので、どんなに良いお品物でも、購入価格は適正価格で手に入れたいと思うようになったと言えるのでないでしょうか。

若い方々の嗜好

    若い方々のジュエリー離れが話題になっています。慢性の不況の世の中を生きてこられて、ジュエリーの必要性を感じない方々が、一定数いらっしゃるのはある意味当然だと思います。

    とはいえ、シルバー、K10、K14などの素材でデザインを楽しまれる方々は少なからず存在しています。ジュエリーを日常的に楽しんでいらっしゃるこちらの方々は、将来的には、プラチナやK18を選ばれるようになる可能性があると感じます。また、ブランドの名前には拘らず、自分の好きなものを自由に選択していらっしゃる人々も身近にいます。結婚式を省略しても、ピンクダイヤの婚約指輪を選んでいるカップルも同僚でいました。みんな同じようにダイヤの婚約指輪と言う時代ではなく、一人ひとりが、自分にとって必要な物を選んでいける時代なのだと感じます。

若者に人気のコスチュームジュエリーの一例(AGATHAのシルバージュエリー)

ジュエリー界に望むこと!

     大好きなジュエリーの世界ですが、私にとってジュエリー界は、摩訶不思議な面があります。標準価格が、一般消費者に分かりにくいのです。工業製品はもちろん、他の品物は、品質に対して、ある程度価格の相場が決まっています。例えばパソコンなど、ブランドの強さによる価格差こそありますが、スペックに対しての値段相場は分かりやすいと思います。

     ところが、ジュエリーは、値段があるようでないのです。百貨店価格が総じて高いのは分かりますが、その価格差は物によってはとんでもなく大きく、驚愕レベルです。どんなに貴重な希少性の高い良いジュエリーでも、販売者の利益があまりにも多く乗りぎた価格では、とても購入することはできません。(私の場合)

ジュエリーの品質と適正価格

     信頼できる鑑定書、鑑別書で、品質について安心することができても、その価格が適正価格かどうかは、少なくともある程度の数、同様のお品物を見続け、勉強していないと分からない部分があると思います。(気になって見ていたあるピンクダイヤのリングが売主が変わった途端販売価格が倍以上になって出ていてショックを受けたことがあります。)

高価なジュエリーを安心して購入できる市場に!

    信頼できるお店で購入するしかないとも思うのですが、品質と価格がもっと分かりやすくなると、愛好家は安心して購入できると思います。結果、ジュエリー市場も拡大し、業界の発展にも貢献することになると思うのです。どこか力のある業者さんかメーカーさんが品質と価格のある程度のラインを購入者が理解でようにしてくださることを強く願っております。